Image courtesy of MELS Studios

バーチャル プロダクションを教える方法

2021年10月26日
今日の映像制作の学生たちが、アカデミー賞を受賞するドラマ、夏の大ヒット作、一気に見る価値のある連続ドラマを制作することでしょう。学生たちが、日の出を止め、ドラゴンに命を吹き込み、または俳優を数十か所のロケーションに瞬時に動かすことができるようなステージで、そのような作品を撮影することができるとしたらどうでしょう。

バーチャル プロダクション (VP) を使えば、そのようなことがあり得ます。『マンダロリアン』から『ウエストワールド』まで、VP がコンテンツの制作方法を変えています。世界における市場価値は2028年までに 47 億 3000 万ドルに達すると予測されていて、今はどこの学校も関心を寄せています。Sheridan 工科大学の SIRT センターは独自の VP イノベーション ハブを立ち上げ、Escape Studios がその後のトレーニング用のケース スタディとして独自の VP ショート フィルムを制作しました。SCAD も、新たな 10.9 エーカーの映画スタジオ複合施設の一環として、次世代 XR ステージに投資しました。

どこを見ても、気運が高まっているのがわかります。でも、疑問も浮かぶことでしょう。多くの教育者が最も効果的なカリキュラムを作成する方法を見つけようとしています

私たちが支援します。

以下に示している、実践的にも教育的にも VP の性能を試してきた教育者や学生からのアドバイスを活用すれば、皆に愛されるだけではなく、役割を果たすプログラムの設計を始めることができます。

始める方法 

選択肢を知る
バーチャル プロダクションをうまく教えるには多くの道があります。でも、自分が知っていることに目を向けることから始めることをお勧めします。ほとんどの場合、VP プログラムは学校ですでに教えていることに割り当てることができます。 

Epic Games の教育パートナー マネージャーである Mark Flanagan は、「ゲームを教えているのであれば、ゲーム レベルを見て、VP で必要とされるものとどのように違うかに目を向け、そこから作業を行います。オンセット ライティングを教えているのであれば、Unreal Engine で同じ理論をライティングに応用する方法を探ることから始めます」と述べています。 

選ぶ VP のタイプによって、カリキュラムが大幅に変わることがあります。VP には次のようなさまざまなタイプがあります。 
  • ビジュアライゼーション:イメージを使って、シーケンスでのクリエイティブの意図を伝えます。ビジュアライゼーションは、プレビズ、バーチャル スカウティング、スタントビズなどの形を取ることがあります。
  • モーション キャプチャ:オブジェクトやアクタの動きを記録し、そのデータを使って、デジタル モデルをアニメートします (例:『ロード・オブ・ザ・リング』に登場する Gollum)。
  • ハイブリッド バーチャル プロダクション:カメラ トラッキングを使って、グリーン スクリーン映像撮影技術を CG 要素と合成します。
  • LED バーチャル プロダクション:グリーン スクリーンを LED ウォールで置き換えます。LED ウォールには、リアルタイム エンジンからの CG 要素やイメージを表示できます。したがって、セット上の誰もが最終ピクセル イメージを見ることができ、すべてをカメラにキャプチャすることができます。『マンダロリアン』によって広く知られるようになった、インカメラ VFX (ICVFX) の使用は成長し続けています。 

皆さんにとって適切な VP は、学校の予算や物理的な空間など、多くの要因によって異なります。Framestore 社のバーチャル プロダクション プロデューサー Manon Hartzuiker 氏によると、ビジュアライゼーションは手始めに適していて、「プロダクション プロセスの最上位を占めていて、ワークフローの他の領域に通じています」と述べています。
Image courtesy of Oger Sepol
Digital Domain 社のビジュアライゼーションとバーチャル プロダクションの責任者である Scott Meadows 氏も同じ意見であり、「パフォーマンス キャプチャとリアルタイム ビジュアライゼーションに重点を置くことで、制作経験でのしっかりとした基礎も学生に与えられます」と述べています。

それをさらに一歩進めたいと望む人は、ハイブリッド グリーン スクリーン ソリューションを使用することが、費用を抑えるために通常は最も効果的な方法です。一方、ハイエンドなプロダクションのデモを行うには LED ボリュームが最適です。
技術を身につける
実践することで完璧にできるようになります。だからこそ、実際のバーチャル プロダクション セットで使用されるすべてのツールを学生が利用できる必要があります。Unreal Engine に加えて、セットアップには以下のものが含まれます。
  • VR ヘッドセット (HTC Vive、Oculus など)
  • カメラ トラッキング システム (Ncam、Mo-Sys StarTracker など)
  • モーション キャプチャ システム (Xsens、OptiTrack など)
  • LED パネル 
  • グリーン スクリーン
  • ウィットネス カメラ

どのタイプの VP を教えるかが決まったら、自由に使える予算と空きスペースに応じて、必要となるリソースの目録を作成することが重要です。
Image courtesy of MELS Studios
Image courtesy of Framestore
教育者を見つけてトレーニングする
最後の鍵となるものは、一番大切なものです。どのタイプの VP を選んでも、どのような技術を購入しても、業界での VP の経験がある新しいスタッフを雇うか、または現在のチームを高い水準までトレーニングすることが不可欠です。
Image courtesy of Animism Studios
幸い、Unreal Engine の無料コンテンツ パックや Quixel Megascans 環境など、それを支援できるいくつかのリソースがあり、誰でもダウンロードしてリアルタイム ワークフローを自力でテストできます。
Image courtesy of Dimension Studios and DNEG
SIRT のバーチャル プロダクションのリーダーである Spencer Idenouye 氏にとって、Unreal Fellowship プログラムはトレーニングするのに最適な方法でした。「それは絶好の機会でした。5 週間で、私は Unreal Engine と Unreal マーケットプレイスのアセットを使って、ショート フィルムのほぼすべてを作成することができました。そのような実習に参加し、その過程でプロセスを文書化したことが、バーチャル プロダクションで必要とされるスキルについて深く理解することに役立ちました」と述べています。 

カリキュラムを計画する

VP の学生に教えるべき上位 7 つのトピック
応用される技術はバーチャル プロダクションと同じくさまざまなので、何を教えるかを決めるのは簡単ではありません。取り上げるべき最も重要なトピックを以下に示します。

1. 基礎:映像制作の概念とそれに相当するゲーム エンジン機能の相関関係を把握しておくことは、VP を扱う仕事をする誰にとっても極めて重要です。それは、編集、監督、演技、合成について学ぶことを意味します。Flanagan は「学ぶ対象が VP だからといって、映画を制作する方法を知る必要がないというわけではありません」と付け加えています。

2. オンセット ライティング:ライティングについて学ぶことは、VP の学生がリアルな背景を作り出す上でも不可欠です。SCAD のシネマトグラファーである Joerg Schodl 氏は、「物理的な前景のライティングをバーチャルな背景に合わせることで、すべてのものが一つにまとまります」と述べています。

3. スケジューリングと制作工程:業界は、バーチャル プロダクションの登場により、数十年にわたって実施されてきたパイプラインを見直しています。ポストプロセスで VFX を行わない場合、事前のプランニングが完璧である必要があります。そのため、VP の学生はスケジューリングと制作工程についてできる限りのことを学ぶ必要があります。

4. バーチャル デザイン:学生にオンセット映像制作について教えるだけでは十分ではありません。学生は、リアルタイム環境用のコンテンツを作成および準備できるように、CG についても学ぶ必要があります。SIRT のバーチャル プロダクションのリーダーである Spencer Idenouye 氏は、「ジオメトリ、マテリアル、リギング、ブレンドシェイプなどを使って、スタティック メッシュとスケルタルベースのキャラクターの両方に対して 3D アセットがどのように構築されるかについて学生に教えることが重要です」と述べています。

5. ステージ オペレーション:LED VP では、色補正、nDisplay 設定などの LED ウォールの設定やエンジニアリングが極めて重要です。学生にとって、それらがどのように機能するかについて基礎を学ぶことによって、舞台裏で何が起こっているかについての理解が深まります。

6. パフォーマンス キャプチャとカメラ トラッキング:3D キャラクターをリアルタイムでアニメートすることや、月面に立つ俳優を撮影することを望むのであれば、モーションキャプチャについてあらゆることを学ぶ必要があります。学生は、カメラが適切にキャリブレーションされるようにする方法、モーションキャプチャ データを Unreal Engine にストリーミングするのにどのようなソリューションがあるか、およびフェイシャル キャプチャ作業について知っておく必要があります。

7. ビジュアル スクリプティング:ゲームのロジックとメカニズムを熟知していることは、バーチャル プロダクションのプロジェクトをサポートするツールを学生が開発またはカスタマイズすることに役立ち、業界に入ってから複雑な問題を解決するのに役立ちます。
Image courtesy of Neweb Labs
最も効果的なプロジェクトを計画する方法
実世界のシナリオをバーチャル プロダクションでエミュレートするプロジェクトは、学生をトレーニングするのに最も効果的です。Escape Studios の副学部長である Saint John Walker 氏は、「学生が自分の作品を大型スクリーンで見ることができれば、最大の効果を生み出します。輝度が 1,600 ニットの大型 LED ウォールは、表面下でどのように動作しているかをまだ完全には理解していなくても、心に残る印象を与えます。映像制作の学生は、ゲームの学生とは違って、そのような没入感を経験することに慣れていません」と述べています。

プロジェクトは、ショートフィルムの着想、プランニング、創作から、モーション キャプチャやリアルタイム システムの設定まで、撮影が数日に及ぶことがあります。Digital Domain 社の Scott Meadows 氏は、何を選んだとしても、それぞれの作業の背後にあるプロセスに注目することが重要であると述べています。「学生は指示に従うだけではいけません。ステージのキャリブレーションを行う手段を検討し、問題点を特定してスピードと安定性を改善していかなければなりません」と付け加えています。
カリキュラムを最新に保つ方法
バーチャル プロダクションなどの新しい技術を教える場合、カリキュラムを最新に保つことは大きな課題です。
Image courtesy of Dimension Studios and DNEG
教育者は、ハードウェアやソフトウェアのアップデートの最新情報を把握するために、テクノロジー企業と密接な関係を絶えず維持する必要があります。Meadows 氏は、「順調に最新技術への適応を進める手段として、新しいハードウェアがリリースされるときに、学校は早期アクセスを依頼し、デベロッパーにフィードバックを与えることも考えられます。ユーザー グループやフォーラムを作ることや参加することは、最新情報を把握するのにうってつけの手段です」と述べています。 

Framestore 社の Hartzuiker 氏によると、VFX プロダクション チームと絶えず連絡を取り合うことも重要であり、「プロダクションはそれぞれ異なっていて、私たちはワークフローの効率を向上させる方法を常に探しています。学校側から連絡をもらえたなら、私たちの知見を喜んで共有します」と述べています。

職務への期待を設定する

バーチャル プロダクションのトレーニングを受けた後に、学生はおそらく次のようなさまざまな役職で就職することになるでしょう。
  • バーチャル プロダクション スーパーバイザー:バーチャル プロダクション技術のオンステージ コンポーネントの管理を担当して、完全に統合された実写と CG のハイブリッド ショットを実現します。 
  • テクニカル アーティスト:Unreal Engine を使って、バーチャル セット拡張を作成し、リアルタイム再生用にデータを最適化し、ブループリントを使ったアニメーションなどを行います。
  • プロダクション デザイナーまたは VAD アーティスト:バーチャル セット スカウティングを活用して、VR & AR 技術による環境を最終化します。
  • プリビジュアライゼーション スーパーバイザーまたはアーティスト:主なシーケンスのクリエイティブ面の方向性の確立など、映像制作プロジェクトのコンセプト作成を担当します。
  • モーションキャプチャ アニメーター:モーション キャプチャ データに基づいて、リアルなアニメーションをキャプチャし、磨きをかけ、提供します。

上記の職務だけでなく、バーチャル プロダクション ジェネラリストが、従来の映像制作の多くの役割を担当することもあります。Epic Games の M&E テクニカル プログラム マネージャーである Brian Pohl 氏は、「バーチャル プロダクションのあらゆるものは映像制作の確かな理解に由来していて、逆に、バーチャル プロダクションを学ぶことから得られる新しい知識や手法が従来の映像制作に新しいプロセスを与えることができます」と述べています。

例えば、VP のトレーニングの後に、学生は撮影監督になることや、本物のライトに触れることなくバーチャルに行った後に照明担当になることもできます。卒業生は、DIT(デジタル イメージング テクニシャン) の役割に進むことも、同じ理由でシネマトグラフィーに進むこともできます。 
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SCAD の Schodl 氏は、「映像制作の教員および映像制作者として、私はこれを、誰もが利用できるようにするためのツールと捉えています。学生が十分な実践経験を確実に積むには費用がかかり、多大な時間を必要とすることもありますが、リアルタイム エンジンを使えば限界はありません。学生は単一のカリキュラムを通じて、実践的なセットや VP セットで作業するために必要となるあらゆるスキルを学ぶことができます」と述べています。

さらに学ぶ

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