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プロシージャルなナラティブ駆動型のホラー作品『Returnal』 (リターナル) を読み解く

Brian Crecente |
2021年4月21日
フィンランドのヘルシンキに本社を置く Housemarque は、コンソールおよび PC 版のゲームを開発しているデベロッパーです。陶酔感あふれるゲーム エクスペリエンスの実現に向けて、奥深いゲームプレイ メカニズムと完璧な音響・映像を重視しており、多くの熱狂的なゲーマーからも賛同を得ています。Housemarque は 1995 年に Harri Tikkanen 氏と Ilari Kuittinen 氏によって共同設立されました。同社設立前には、Harri と Ilari はフィンランドにおける最初のゲーム デベロッパー 2 社である Bloodhouse と Terramarque を設立しています。25 年以上の経験と、Resogun、Alienation、Matterfall、Nex Machina などの PS4 版タイトル作品を開発した実績により、Housemarque は、今やダウンロード可能なコンソール向けゲームの老舗のデベロッパーとしてその名を響かせています。
Returnal は、荒廃した異世界を表現するビジュアル デザインと死、そして謎めいた惑星「アトロポス」の秘密を一つひとつ暴いていくストーリーが巧妙に混ざり合った新感覚のローグライク ゲームです。

本タイトルは、魅力的でアーケードライクなシューティング ゲームを得意とする Housemarque の新たな一歩となる注目の作品です。

Epic では、Housemarque チームの何名かにお時間をいただき、サードパーソン AAA ゲームの開発に舵を切った経緯や、Returnal で採用されているラブクラフト風の外観に同社の経験と実績が及ぼした影響、そしてプラットフォームとして PlayStation 5 を選択した理由と、PS5 の次世代技術がこのホラー世界を描くのに適していた理由についてお話を伺いました。

Housemarque はゲーマーを熱狂させるアーケードチックなゲーム作品で名を馳せていましたが、2018 年にこのような作品から AAA ゲームの開発に移行する決断を発表しました。この決定は Returnal のデザインに何らかの影響を及ぼしましたか?

Mikael Haveri 氏 (ビジネス デベロッパー兼マーケティング ディレクター):
繊細さを最重要視したゲームプレイは当社の根幹とも言える部分で、当社の今後の作品でも重要な役割を果たしていくでしょう。当社ではより大規模なゲームに反復的なデザイン プロセスを取り入れていきたいと考えており、すでに実証済みのさまざまなゲームプレイ エクスペリエンスを取り入れるための、興味深く楽しい仕組みに挑戦していきたいと思っています。ゲームが直観的であれば、プレイヤーは自然にストーリーと自らの役割を把握でき、これをスキルとして磨くことができます。これは私たちがアーケード ゲームに没頭していた時期の経験であり、過去 10 年以上にわたるソニーとの緊密な連携を通じても、これが活用すべき要素であることを学びました。

基本的に Returnal はアーケード ゲームであり、熱狂的なファンであれば、当社の過去の作品と類似する点が多いことに気付くことでしょう。つまり、Returnal には今日のゲームに見られる多様な要素が取り入れられていますが、現在販売中の他のゲーム作品とは一線を画す雰囲気を醸し出す作品となっています。個人的には、プレイは MDK に、雰囲気は Silent Hill に似ていると思います。今回は系統の異なる作品ですが、良き 90 年代のゲーム作品の優れた部分をくみ取りながらも、以前とまったく同じ「アーケード ゲーム」ではないことを示す例と言えます。また、最近のローグライクまたはソウルライクな作品からも新鮮な影響を受けていますが、当社の作品はそれらともまた違ったものに仕上がっています。

御社に深く根付いているアーケードプレイにおける美学と、御社の過去の作品の雰囲気は、Returnal で表現しようとしていたものに対してどのような影響を及ぼしましたか?

Haveri 氏:
実証済みのあらゆる慣習や技法を活用することが大切なので、環境表現や弾幕の量のバランスを取りながらも、Alienation や Nex Machina などのゲームから多くを学びました。攻撃を回避するよう努力し、同時に複数の敵と戦ったり、問題に挑戦したりして楽しむことがすべてです。プレイヤーのエンゲージメントを常に意識して、プレイヤーがゲームを完全に制御できていることを感じてもらいたいと思っています。私たちがゲームプレイでそれを感じることができるようになったら、当社の統合システムを通じて雰囲気の作成や、雰囲気のペース設定を開始します。

私たちは、プレイヤーがループを通じて Returnal に対するエンゲージメントを維持することを望んでいるため、「死を繰り返してやり直す」という本作品独自のエクスペリエンスを楽しんでもらえるものにする必要がありました。恒久的なアイテムやナラティブ要素、環境間を移動するための新たな手法なども Returnal で新鮮なエクスペリエンスを提供する要素ですが、プレイヤーにはこの独特のゲームプレイを最も楽しんでいただきたと考えています。
 

新たなゲーム開発に移行したここ数年で、Housemarque はスタジオとしてどのように変化しましたか?

Haveri 氏:
1995 年以来、Housemarque ではさまざまなタイプの作品の開発に取り組んでおり、スノーボード ゲームをいくつか開発した後には、プリプロダクションの工程まで進んだサードパーソン プロトタイプもありました。Super Stardust HD は当社のアーケード型小規模タイトルの黄金時代が始まるきっかけとなった作品で、当社の知識や経験の多くは、PS3 および PS4 を含むこの十数年の間に培ったものです。

2017 年には当社で初めての UE4 ゲームとなる Matterfall を発表しました。同時に、Nex Machina は当社独自のエンジンで制作した最後のタイトルとなりました。当社では長年にわたって Epic とエンジンの変更について協議していましたが、ようやく準備が整い、スタッフ全体を 2 グループに分け、これら 2 つのプロジェクトに渡って、大きな問題なしに移行を完了することができました。こうすることで、まず Unreal のエキスパートを育成し、大規模なプロジェクトを開始する際などに他のデベロッパーを指導できる体制を整えました。とは言うものの、より大規模なプロジェクトへの拡張や新しいカメラの使用、さらなるディメンションの追加などにより、私たちが解決すべき新たな課題も生まれています。こうしたことに対応できる各種プロセスの確立や、体制の整備は早急な課題ですが、それらに加えて昨今のリモート ワークも直面の課題となっています。

全体的に、当社では Returnal が Housemarque の現状を正確に表すものであり、最近のこの移行を通じて当社のスタジオとしての経験やスキルが大幅に高まったと考えています。この作品に込めた私たちの想いを多くのプレイヤーに感じていただき、Housemarque の今後の作品とポテンシャルについてご期待いただけると幸いです。

作品のジャンルを変更したことで、御社のゲーム開発アプローチはどのように変わりましたか?

Gregory Louden 氏 (ナラティブ ディレクター):
Returnal は、当社の過去の作品からの進化であり、それらに対する革命的変化とも言えます。「ゲームプレイ中心主義」を継承し、リプレイ性と「始めるのは簡単で、習得するのは困難」なゲームを目指しています。また、当社ではスタジオとしての成長も目指しており、より大規模で派手な作品の開発を意欲的に行っていきたいとも考えています。当社の素晴らしいパートナーであるソニー・インタラクティブ エンタテインメントにも、コラボレーションを通じた PlayStation コンソール向けの複数のタイトルのリリースを経て、当社の考えに賛同していただいています。その結果が Returnal なのです。

キャラクター駆動型のダーク サイファイ アクション スリラーに時間ループの概念と心理学的要素を取り入れるというアイデアは、元々 Housemarque のゲーム ディレクターを務める Harry Krueger と共同設立者である Harri Tikkanen の両人によるものでした。次のステップは、従来の横スクロールからサードパーソン ビューへの移行で、ローグライクな要素を追加する作業もありました。プレイヤーが何度もプレイしたくなり、Returnal での戦いを通じて考えさせるような奥深いストーリーの制作にあたり、専門のナレーティブ チームを社内に作りました。このようなビジョンと基盤に基づいて当社のチーム全員で作り上げたゲームプレイ、ナレーティブ、アート、サウンド、そして技術を集結したものが本作品です。
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御社初めての AAA タイトルとなる作品にサイコホラーを選んだ理由は何ですか?

Louden 氏:
Returnal では、不思議で深長な印象深いストーリーを提供したいと考えていました。単に映像や音でプレイヤーを驚かせるのではなく、プレイヤーの心に残るストーリーです。私たちは、プレイヤーがさまざまな疑問を抱くようなメッセージ性のあるストーリーを目指しており、Returnal によってそれが実現したのです。

さらに、当社では本タイトルのゲームプレイのように、単に満足するストーリーではなく感動を呼ぶストーリーを制作したかったため、プレイヤーの興味をそそる充実した内容の奥深いストーリーにすると同時に、ループを繰り返してそれぞれのサイクルで少しづつ謎を解き明かすことのできる設定にしました。こうした理由で Returnal は心理スリラーとなったのです。

そのジャンルにおいて、目指していたゲーム メカニクスにマッチするような特定の要素はありますか?

Louden 氏:
Returnal の制作にあたって私たちが最も参考にしたのは、当社自身の過去の作品でした。過去の作品を新しい観点から進化させたいという気持ちがあったからです。私たちの経験をすべて新しい観点から捉え、私たち独自のサードパーソン シューティング ゲームを作りたいと思っていました。当社が表現する弾幕やさまざまなアーケード的要素、完璧な制御性は非常にうまく機能し、過去の作品と同様のプレイ性を維持しながらも、プレイヤーに新しいスタイルとテイストを提供するものになりました。それに加えて内容の濃いナラティブも用意し、プレイヤーがゲームを通じて探索し、秘密を次々と明らかにできるようになっています。

Returnal ではローグライトのプロシージャル生成型アプローチと、多くのホラー作品で見られる奥深いナラティブの力を組み合わせていますが、これをどのように達成しましたか?

Louden 氏:
Returnal はすべて手作業で作られたものですが、最も重要なのは、プレイヤーがプレイするたびにこれらのモーメントがプロシージャルにつながり、手作りの環境、レベル デザイン、戦闘、ナラティブが接続される点にあります。セレーネがアトロポスで戦い、さまざまな仕掛けをクリアするたびに、そのバリエーションの多さには今でも私たち自身が驚かされるほどです。

ナラティブの面では、心理学的要素とダーク サイファイ的な時間ループのパラダイムが、ループを繰り返して解明可能な謎を多く取り入れるという当社の哲学を通じて取り入れられています。ゲームプレイはループ、発見、習得を目指すもので、ストーリーも同じ目標に沿っています。ナラティブ デザインにおけるサイクルの性質に従い、より前に進むことで、主人公であるセレーネ自身、彼女の過去、そしてアトロポスにいる理由が解明されていきます。

セレーネがエイリアンのテクノロジーに触れながら自らの人間性を犠牲にし、ループを繰り返して戦うにつれ、オーディオ ログやシネマティックス、吹き替え音声、プロダクション デザイン、サウンド デザインを通じて、セレーネ自身の新たな側面とストーリーが浮かび上がってきます。Returnal は、さまざまなピースを一つのストーリーへとつなぎ合わせることをプレイヤーへの報酬とするゲームです。困難ではありますが、プレイヤーにとっては有意義な報酬と言えるでしょう。また、このストーリーはサイクルによって形成され、直線的なものではないため、ゲームの中でのみ実現可能なストーリーであると思います。Returnal のストーリーは、プレイヤーの過去ログを調べ、過去のモーメントに疑問を呈し、私たちが仕掛けたすべての謎を解読することで初めて明らかになるものです。

私にとって「優れたストーリー」とはループであり、これらのループによって変わっていくキャラクターたちなのです。Returnal は、オーナーシップを明らかにし、自分たちが陥っているサイクルを打破するストーリーと言えるでしょう。

Returnal の背後にあるストーリーについて、主人公のセレーネは、深宇宙の探索を任務とするギリシャ系米国人の宇宙飛行士で、アトロポスという惑星に不時着した設定であると理解しています。ギリシャ神話において、アトロポスとは運命を司る 3 人の女神の一人を指しています。特に、アトロポスは運命の糸を断ち切る役割を担っており、人生におけるさまざまな出来事と死を司ります。このような背景は、Returnal の包括的なテーマや死のメカニズムにどのように関連していますか?

Louden 氏:
これはすべて意図したもので、本タイトルのストーリーを奥深いものにするアプローチの一環と言えます。プレイヤーには、私たちの言葉や説明に疑問を持って調べるだけでなく、自らが Returnal の中で読んだものや見聞きしたことに疑問を抱くことを強くお勧めします。私たちはこのような要素をすべて活用し、ミステリアスで奥深い、プレイヤーの印象に残るストーリーにするだけでなく、プレイヤーが情報をつなぎ合わせてストーリーを解明していく作品を作りたかったのです。
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Returnal のデザインにインスピレーションや影響を与えた特定のホラー要素はありましたか?

Louden 氏:
Returnal については、すべてのクラシック ダーク サイファイ映画や文学、サイコホラー、ラブクラフト風ホラー、リンチ風のサウンドスケープとストーリーに影響を受けています。プレイヤーのエクスペリエンスを特別なものにすべく、過去の偉大な作品に敬意を払いながらさまざまなリサーチを行いました。
ダーク サイファイは非常に優れたパラダイムと言えます。クリーチャーや環境、テクノロジー、サウンドスケープなどを完全に創作できるほか、私たちのようなデベロッパーが現実を超えてより深いテーマを探ることができるからです。結果として、試してみたい新たなゲームプレイがたくさんあり、時間が足りないほどです。
クリーチャー デザインに向けた多岐にわたる奇妙で超然としたアプローチには感銘を受けましたが、このようなデザインに関する決断を下すうえで参考にしたものはありますか?また、それらはナラティブとゲームプレイの両方にどのように関連していますか?

Louden 氏:
美術面についてはストーリーと概念にすべて関連しており、サブテキストを使って意図を明確に伝えることで、ビジュアル要素やワールドの構築を促進しています。クリーチャー デザインについて言えば、地球上で最も異世界生物の雰囲気を持つ深海生物からインスピレーションを得ています。また、私たち自身のストーリーも参考にしています。他人から聞くことよりも、自分たちで発見したことのほうが有意義であるためです。

ゲーム内でゲームの視点をサードパーソンからファーストパーソンに切り替えるという決断についてお話しいただけますか?このようにした理由と達成した方法を教えてください。

Louden 氏:
Returnal は基本的にサードパーソン視点のサイファイ シューティングですが、不時着した宇宙船ヘリオスの内部や、アトロポスの廃墟にある一軒家の探索ではファーストパーソン視点でのストーリーを用意しています。こうすることで、これらのシーンでプレイヤーはセレーネに対して親近感を深め、文字どおりに一体となって彼女の記憶を探ることができます。このように主人公により近い感覚と視点にすることで、周りの環境をよりよく見たり、パーソナルなモーメントのサウンドスケープをよりよく感じることができます。階上の足音などをリアルに表現する 3D オーディオ機能と、さまざまなものの感触を伝える DualSense ハプティクス機能が組み合わさることで、ファーストパーソン視点のプレイがよりリアルなものになります。

本タイトルの開発を Unreal Engine で行った理由は何ですか?Unreal Engine を使うことで、ゲーム デザインに何らかの影響はありましたか?

Louden 氏:
Housemarque では 26 年もの間、独自のテクノロジーを培ってきましたが、同時に PlayStation Studios エクスクルーシブ タイトルとしてより生産価値の高いゲーム作品の制作をも手がけたいと考えていました。このため、Unreal Engine を使って、Epic の長い歴史の中で培われた生産価値の高いコンソール依存ゲームの制作経験を基盤として開発を行おうと思ったのです。当社独自のテクノロジーの開発を続けながら、Returnal では ブループリント やシネマティック システムなどの各種ツールを活用できたため、Unreal Engine は素晴らしいツールであり、とても気に入っています。

Housemarque は PlayStation の各バージョン向けの魅力的なローンチ ゲームの制作においても有名ですが、AAA への移行により、PlayStation 5 向けのゲーム制作に対する考えに何らかの影響はありましたか?また、前のバージョンの PlayStation コンソール向けの作業と比べて何か違いはありましたか?

Haveri 氏:
ナラティブなどのまったく新しい領域は常に最大の課題となりますが、チームに Gregory のような優秀な人材がいることにとても感謝しています。新しい技術とハードウェアは一緒に利用可能になることが多いため、これらを使ってビジュアル エフェクトなどのクールな効果をいろいろ試すことができます。非常に面白い実験的機能もあり、例えば、クリーチャーの触手部分はすべて当社独自のパーティクル技術を使って処理しました。実際に海にいる頭足動物を参考にできることで、ゲーム内で新しいタイプのビジュアルをキャプチャできるようになりました。

20 年ぶりにサードパーソン カメラを使用するのはとても新鮮ですが、私たちが過去に手がけた多くのアクション ゲームで培った経験を活かし、早期段階で厳密なコア ループに集中できたため、大きな問題は特にありませんでした。全体的にはまだ課題はありますが、Matterfall の時点で Unreal に移行しており、Returnal の開発に取りかかる前にチームに十分な時間を与えることができた点はとてもよかったと思います。COVID-19 の影響もありましたが、それにも負けずにさまざまなことを達成できたことを誇りに思います。ゲームを自宅から配送するというレアな体験もできました。
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アトロポスのランドスケープやその制作担当者は、レイトレーシングや 4K 解像度などの技術にどのように影響を受けましたか?

Louden 氏:
Returnal は、上下左右のスクロールを中心とするゲームから PlayStation Studios サードパーソン シューティング アクション スリラーへの移行という面で、Housemarque のスタッフ全員にとって進化への大きな一歩でした。Returnal は 4K 解像度の SSD 駆動サードパーソン シューティング アクション ローグライク ゲームであるため、プレイは高速で、ロード速度も飛躍的に向上しており、非常にスムーズです。そのうえ、アトロポスの世界も進化し、サイクルやセッションごとに変化するため、アート パイプラインを幅広いバリエーションに対応できるものにする必要がありました。私たちはこのようなさまざまな結果を誇りに思っていますが、同時に、生産価値の高いゲーム制作のパラダイムに向けた第一歩に過ぎないとも捉えています。

Returnal では、どのような PS5 の最新技術を利用しようとしましたか?また、それらを利用した感想はありますか?

Louden 氏:
Returnal は PS5 専用タイトルであり、PS5 に秘められたすべての次世代機能を活用して最高のエクスペリエンスを作り出しています。超高速 SSD などの PS5 機能により、死のサイクルも高速で処理することができ、プレイヤーにほとんど待ち時間を感じさせません。セレーネが死んでもすぐに戻ってプレイを再開できます。また、アダプティブ トリガーにより、当社の新 ALT ファイア システムと 3D オーディオ機能を使ってプレイヤーにより深い没入体験を提供し、弾幕を使った戦闘の際には追加情報を与えることができます。最後に、DualSense コントローラーも活用し、雨がパッドに落ちる振動から、ファーストパーソン視点のセクションやシネマティック環境におけるそれぞれのモーメントにいたるまで、さまざまなものの感触をプレイヤーに伝えることができるようにしました。

Returnal ではアダプティブ トリガーを使って、発見可能なすべてのエイリアンの武器を使う際にフィードバックを提供するようにしました。L2 ボタンを半分押し込むと十分なクリック感が伝わり、フォーカス エイムの状態で ALT ファイアをアンロックします。ALT ファイアでは、ライトニングや爆弾のランチャーなど、ランダムに生成された多種多様な攻撃を行うことができます。プレイヤーの皆さんには、PS5 の最新技術とそれらを活用した Returnal を体験し、優れたサウンドやビジュアルだけでなく、本タイトルの世界を体感していただきたいと願っています。

Returnal のビジョンを実際に表現するうえで、最も効果的であった Unreal Engine の機能にはどのようなものがありましたか?

Louden 氏:
ブループリントが非常に重要でした。ブループリントによって、当社のデザイン チームはレベル デザイン、武器のバリエーション、各種ゲームプレイ システムのプロトタイプを迅速に作成することができました。Housemarque のゲーム作品はそのプレイ品質が特徴となっており、スピードとイテレーションがこのための重要な要素となっています。本タイトルが生産価値の高いゲーム制作に向けた当社の初めての試みということも考えると、PlayStation 5 専用のアクション ゲームプレイ、ローグライクのバリエーション、そしてプレイヤーを魅了するナラティブを開発するうえで、Unreal Engine は当社のメイン技術ツールとして非常に重要な役割を果たしました。
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本タイトルのデザインに関して、ここでご紹介いただけるような特別なゲームプレイやビジュアル要素はありますか?もしあれば教えてください。

Louden 氏:
Returnal における Housemarque のアクション ゲームプレイは素晴らしいものですが、当社独自のトップクラスの VFX 技術である「Kaamos Engine」を取り上げたいと思います。これは UE4 のプラグインとして開発したもので、これによって Returnal に非常に優れた VFX を加えることができました。これは Resogun と Nex Machina に使用した技術と同じで、Returnal ではこれをさらに活用しました。当社では、これを発光するエイリアン惑星の植物相や、アトロポスに潜む敵の無数の触手、プレイヤーの戦闘時における火力とそれがもたらす廃墟に使用しました。また、敵を破壊した際にはボクセル化効果を適用しました。Resogun を連想させるような効果です。

当社のトップクラスの VFX は Returnal でも活躍を続け、数百万にも及ぶパーティクルを使って優れた効果を作り上げます。

次世代ハードウェアと Unreal Engine の長期的な可能性について、あなたとチームが最も期待していることは何ですか?

Louden 氏:
Unreal Engine 5 初公開 」で公開された数々の可能性や、ライブアクション ボリューム ステージに関するイノベーション、そして MetaHuman に関する発表 はどれもすべて私たちにとってエキサイティングなものです。これらを早くレビューして、当社の次のタイトルに利用できるかどうかを確かめたいと思っています。PS5 はとても優れたプラットフォームであり、PlayStation のローンチ期間向けタイトルとして当社の傑作 Returnal をリリースできたことをうれしく思います。

貴重なお話をありがとうございました。Housemarque と Returnal の詳細について知るにはどうすればよいですか?

Returnal については公式の PlayStation ページ を参照してください。また、当社 Housemarque については、当社の TwitterFacebookDiscord をフォローするか、当社の Web サイト をご覧ください。

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