Survios は業界で最も有名な VR ゲーム デベロッパーの 1 つです。ロサンゼルスに拠点を置くこのスタジオが最初にその頭角を現したのは、Raw Data という素晴らしい作品をリリースした時でした。その後も次々に Sprint Vector、Creed:Rise to Glory、Westworld:Awakening などのすぐれた VR 作品を世に送り出しました。Survios の最新作品である The Walking Dead Onslaught は、AMC の人気テレビ番組を題材にしたスタジオ最大のヒット作品です。デベロッパーがどのようにしてこれを成し遂げたのか、ゲーム ディレクターの Andrew Abedian 氏、アート ディレクターの Tate Mosesian 氏、そして最高技術責任者 (CTO) の Alex Silkin 氏にインタビューしました。
3 人はドラマに登場するアセットをモデリングしてテクスチャリングすることで、プレイヤーを The Walking Dead のエピソードに入り込んだ感覚にさせることを目標として熱心に作業に取り組んだ様子を話してくれました。また、ヒットしたテレビ ドラマのプロデューサーや俳優たちとの共同作業がどのようなものだったかについても詳しく教えてくれます。技術的な面では、ゲームの武器のデザイン方法や VR の身体的な境界線をどのように押し上げたのかについて説明します。さらに、特定の Unreal Engine ツールを使用して、パフォーマンスを維持しながら VR で 30 人のウォーカーを同時に画面上に表示させるためにゲームを最適化した方法についても教えてくれます。
Survios とドラマ The Walking Dead の作家やプロデューサーたちとの関係性やワークフローはどのようなものだったのか教えてください。
Andrew Abedian 氏 (ゲーム ディレクター):AMC チームとの作業や番組のプロデューサー、作家、それに出演者との交流は素晴らしいものでした。このようなレベルのコラボレーションでは、AMC の The Walking Dead の雰囲気を再現して私たちのゲームに組み込むことが重要な鍵でした。キャラクターをリアルに感じ、そしてキャラクターがそれらしく話し、聞こえるのは、このコラボレーションだからこそできたものです。このプロジェクトの開発期間中、AMC とはすべての協議で一緒に話し合い、私たちチーム同士で健全な対話をするように心がけてきました。
たとえば Alexandria のように、ドラマに登場するエリアがゲーム内で再現されています。The Walking Dead Onslaught でドラマの景色を再現するにあたり、どれくらいリサーチしましたか?
Abedian 氏:開発を始めた時から、ゲームの世界を AMC の The Walking Dead のエピソードの一部のようにしたいと思っていました。そこで、Onslaught の環境用参考資料として使用するために、膨大な時間をかけて番組のこれまでの映像や写真を調査しました。Alexandria の場合は、町で実際に舞台となった場所の衛星画像を見て、シーズン 9 の拡大版から集めた参考画像と照らし合わせて表にしました。ゲームでは同じ種類の素材を使い、建物は同じ構造にすることにしていましたが、さらに町の測量まで行い、それをレベルのグレーボックス テストを始める時の出発点としました。これにより空間はすぐに「正しい」と感じられ、ユーザー エクスペリエンスや技術的な理由により小さな変更を行う場合も、本物の Alexandria 感を損なうほどのことは起きませんでした。
The Walking Dead Onslaught では VR ロコモーション (移動) をどのように処理していますか?また、過去の VR 作品から学んだことがあれば教えてください。
Alex Silkin 氏 (CTO):プレイヤーの幅広い好みと VR の快適性を満たすため、プレイヤーにはさまざまな選択肢を提供できるように努力しました。ゲームは 3 つのロコモーション スタイル、Teleport (テレポート)、Fluid (腕の振り幅)、そして Smooth (ジョイスティック) でプレイすることができます。これらのシステムの実装は、過去の作品における実験から進化したものです。Teleport を使用すると、プレイヤーは即時遷移により VR では最高の快適性を得ることができますが、Raw Data の Teleshift ロコモーションに基づいた高速の補間遷移オプションを有効にするという選択肢もあります。Onslaught の Fluid ロコモーションは、あの非常に高速な Sprint Vector で最初に登場し、ゆっくりとした速度の Westworld Awakening にも適応された動きをより簡素化して実装したものです。最後の Smooth ロコモーションは一般的に強い VR 慣れを必要とするスキームのため、プレイヤーの快適性を確保するために Raw Data と Westworld Awakening の経験から学んだことを利用して調整しました。同様に、回転のオプションは 4 つ、Snap、Swift、Smooth、および Disabled を提供しています。Swift 回転は、私たちの今までの作品と同じように素早く遷移します。Snap 回転は遷移のない、瞬間的なものです。これは過去の作品で Swift 回転を使用して不快感を感じた一部のプレイヤーからのフィードバックに基づいて追加されました。
VR 開発の世界におけるパイオニアとして、Survios が The Walking Dead Onslaught の際に参考にした VR 作品があれば教えてください。
Silkin 氏:The Walking Dead Onslaught は私たちの過去の作品、Creed:Rise to Glory や Raw Data で培った社内技術と知識に戻づいて開発されたものです。しかし、VR 界における他の先駆者たちには感謝しています。私たちはこの新しいメディアのスタンダードとベスト プラクティスを定義するために、一緒に協力してきた気がします。まずは Arizona Sunshine に触れずにゾンビ VR ゲームについて語ることはできません。このゲームのおかげで、線形にストーリーが進むゾンビ VR シューティングゲームのスタンダードが完成しました。他に私たちがインスピレーションを受けた初期の重要な草分け的なゲームには Blade & Sorcery があります。これは、私たちが市場で最初に見つけた近接戦闘武器の能力を表した素晴らしいサンプルの 1 つです。
The Walking Dead Onslaught は近接戦闘の制約と Progressive Dismemberment (段階的部位切断) システムによって VR の身体性を推し進めることを目標にしています。それらのメカニズムがどのように機能するのか、また、このようなアイディアになった経緯について詳しく教えてください。
Abedian 氏:The Walking Dead Onslaught の制作を開始した当初は、Sprint Vector を開始した時と同じように、大きな問題をゲームの核とすることで解決しようとするアプローチを行いました。今回、番組をビデオ ゲームのフォーマットに変換することを想定した時、生存者とウォーカーとの間の戦闘の物理的な性質について考えました。それは押したり、首を絞めたり、投げつけたり、すべてが非常に実践的でした。以前にも近接戦闘の難しさには Raw Data や Creed:Rise to Glory で取り組んでいましたが、私たちはプレイヤーがさまざまな方法でウォーカーと有意義にインタラクトできるように手助けするまったく新しいシステムを開発しました。これは私たちが解決したいと考えていた大きなインタラクションの課題でした。バットや刀、斧を使用する際の違いには意味があることを表す技術を作成することに深い価値があると考えていたからです。
Progressive Dismemberment は、ドラマで登場したウォーカーに関する知識への信頼性、つまり The Walking Dead チームが一貫して大成功させていた大量殺りくを維持しようとした時に必要なコンセプトとして思いつきました。傷を負い、体の一部分を失い、今にも崩れ落ちそうなウォーカーたちを作り出し、Onslaught の戦闘シーンがドラマの映像と一致するようにしました。プレイヤーはゲームの進行に合わせて武器を揃えていきながら、ウォーカーが崩壊していくレベルを体験できるようにしました。また、Progressive Dismemberment の大きな利点は、先ほど説明した近接戦闘システムに対して十分に満足できるフィードバックの手段を提供できることです。
The Walking Dead Onslaught には野球用のバットからショットガンまで、数多くの武器が用意されています。種類が豊富で現実的で、さらに満足感のある武器を追加するために、どのようにアプローチしましたか?