Image courtesy of Blue Zoo Animation Studio

Blue Zoo、リアルタイム テクノロジーにより異彩を放つ短編「Ada」を制作

Ben Lumsden |
2019年11月20日
英国アカデミー賞のトロフィーが棚に並び、Nickelodeon や Disney などをクライアントに持つ Blue Zoo は、英国をリードするアニメーション スタジオの 1 つです。遊び心に満ちたユニークな CG キャラクターで知られ、ミッフィーをはじめとする数々の子ども向け人気テレビ番組を手がけています。

このスタジオのアーティストは、Blue Zoo shorts program (Blue Zoo 短編プログラム) などの取り組みを通じて、作品制作の革新的な方法を見出すよう常に奨励されています。アーティストたちの枠を広げることを目指すこうした取り組みに後押しされて短編作品を制作するなかで、クリエイティブ面で新たな手法が模索され、最先端のテクノロジーが試されています。
Image courtesy of Blue Zoo Animation Studio
最近のプロジェクトの 1 つでは、リアルタイム ツールの可能性を探ることになりました。「ゲーム エンジンでできることを目の当たりにし、このスタジオでも使用できるか知りたくなったのです」と、Blue Zoo のアニメーション ディレクター、Dane Winn 氏は述べています。
 

リアルタイム テクノロジーでアニメーション ワークフローを促進

Blue Zoo では、全社的なショート フィルム プログラムが、スタジオ全体でクリエイティブ面のコラボレーションと実験を促進する中心的役割を果たしています。スタジオ内の誰でもアイデアを売り込むことができ、チーム全員が投票します。最も票を獲得した候補が制作対象として選ばれ、スタジオの全リソースが投入されます。こうした取り組みで、クリエイティビティを発揮できる環境が整い、制作された短編はスタジオに数々の賞をもたらしてきました。

この夏のプログラムの課題は、Unreal Engine を使って実話に基づく映像を制作することでした。最終的に採用されたアイデアから、アニメーション短編 Ada が生まれました。これは、北極圏の島に置き去りにされ、荒野で生き延びる術を学ぶことを強いられたアラスカの裁縫師、Ada Blackjack の実話に基づいています。

Image courtesy of Blue Zoo Animation Studio
「クリエイティブ面での唯一の制約は、コンピューター ゲームのような表現はしないということでした」と共同創業者 Tom Box 氏は述べています。「最終的に選ばれたのは、黒鉛で描いたようなこのすてきなスタイルで、これで私たちが何を目指したいのか、はっきりと定めることができました」

チームでは、自らに課した課題により、その限界を試されることになりました。「普段使っているレンダリング エンジンでもどうすればいいのかわからないようなものでしたので、Unreal ではなおさらでした」とクリエイティブ プロデューサーの Lizzie Hicks 氏は述べています。
Image courtesy of Blue Zoo Animation Studio
Box 氏は、エンジンのリアルタイムという特性により、学習のプロセスが大幅に促進されたと指摘します。「アーティストたちが、今まで使ったことがない Unreal で目的を達成しようと取り組む様子を興味深く見ていました。エンジンがリアルタイムであるということは、学習もリアルタイムになるということです。長い時間をかけて調整を行い、その結果を確認できるまで何分も待つ必要がなかったため、従来のパイプラインと比べて大幅なスピードアップが可能でした」

リアルタイムのワークフローで作業を進め、ブループリント ビジュアル スクリプティング システムなどの機能を利用することで、クリエイティブ プロセスにおける摩擦が緩和されることもわかりました。「アーティストにとって、とっつきやすさが各段に違いました」と Winn 氏は言います。「Unreal を試してみて、とても直感的に使えるということがわかりました。特にブループリントなどはまさに直感的に操作できるものでした」

リアルタイムでアニメーションを制作、創造性も解き放たれる

リアルタイム ワークフローへの理解が深まると、プロジェクトのクリエイティブ プロセスで、従来のツールを使った場合と比べてコラボレーションを大幅に強化できることがわかりました。「全員がプロジェクトを中心にテーブルを囲んでいるようでした。誰でもすぐに作業を始めることができ、同時に変更を加えることができるため、チーム間でファイルの受け渡しをする必要がなくなりました」と Box 氏は言います。「その結果、21 世紀に即した革新的な方法でアニメーションをゼロから制作できるようになりました」
Image courtesy of Blue Zoo Animation Studio
チームは、作業をすべてカメラ内で行い、メンバーが常に最終的な映像を確認できるようにしました。そのために、新しい作業方法を考案し、カメラの周囲にビネットを適用したり、マスク処理をリアルタイムで行ったりしました。これらは、以前なら合成ツールに処理を頼る必要がありました。「コンポジットの必要がない点が気に入っています」と Hicks 氏は言います。「コンポジターは素晴らしい機能であり、私は好きなのですが、正直なところ、リアルタイムで実行、確認できるとずっと楽しいです」

Blue Zoo は、ティーザーを送る 24 時間前に Ada のテクスチャを変更したときに、変更から 1 時間以内に処理が済んだことに驚きました。「従来のパイプラインなら考えられないことでした。これまでなら、レンダー ファームとコンポジットの処理が期限までに終わるかどうか見当がつきませんでした」と Box 氏は言います。「締め切り間際でも変更を試せる自由は格別です」
Image courtesy of Blue Zoo Animation Studio
リアルタイム ワークフローがもたらしたものは、クリエイティブ面での自由度とコラボレーションの強化だけではありません。素晴らしい即時性を取り戻すことができたのです。この即時性は、従来のアーティスティックなマテリアルからデジタル ツールに移行する際に時として失われるものです。「レンダリングを待ち、砂時計を眺めているほど苦痛なことはありません」と Box 氏は言います。「私が Unreal Engine を気に入っているのは、アニメーション制作を再び楽しめるようになったということもあります」

クリエイティブ面の実験として始まったことが今では、スタジオにとって現実的な可能性を大きく広げるようになりました。「未来がどうなるか非常に楽しみですが、その中心にあるのはリアルタイムと Unreal になるでしょうね」と Box 氏は述べています。

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