Love, Death + Robots | Courtesy of Netflix

Sony Pictures Imageworks による Netflix 配信 Love, Death + Robots 向けリアルタイム スリラーの制作

2022年6月27日
クトゥルフに出会ったらどうしますか?Love, Death + Robots の凄惨な短編に出てくるヒーローたちの答えは、「とにかく生き延びる」です。 シーズン 3 の第 8 話、In Vaulted Halls Entombed では、テロリストに捕らえられた人質の救出という危険な任務にあたっていた特殊部隊が、地下に足を踏み入れ、古代の怪物の脅威に行き当たります。

ジュマンジからスパイダーマン:ファー・フロム・ホームまで、さまざまな作品に VFX を提供してきた Sony Pictures Imageworks チームは、すぐにこの物語にひかれました。「Love Death + Robots が実にすばらしいのは、アニメーターがクリエイティブに探求できるサンドボックスだという点です」と In Vaulted Halls Entombed のディレクター、Jerome Chen 氏は話します。「シリーズや特定の視聴者に忖度することなく、何でもやりたいようにできるのです」

Chen 氏のチームにとってその自由さは、かなり思い切った試みに踏み切るきっかけになりました。数十年も使ってきたパイプラインを、Unreal Engine によるリアルタイム レンダリングのものに変換する、という試みです。「従来のワークフローをリアルタイム環境に持ってきても、うまくいかないことは分かっていました」と Sony Pictures Imageworks のシニア VFX プロデューサー、Doug Oddy 氏は話します。「従来のパイプラインは非常に安定していて、堅牢で信頼性がありました。膨大なコード ベースがあり、独自のリグ、シェーダー、レンダリング設定がありました。私たちは、これまで改善してきた細かい部分や、作り上げた独自ツールなど、すべてから文字どおり離れたのです」

短編が完成する頃には、その賭けに勝ったことは明らかでした。45 人のアーティストから成るチームは、リアルタイム制作の経験がないにもかかわらず、6 人のフォトリアルな人物キャラを完璧な戦闘、会話、身体損傷の視覚効果で完成させ、またアフガニスタンの山脈や悪人の隠れ家など 4 か所の特徴的環境や、怪物のクトゥルフまで、すべてわずか 4 か月の制作期間で完成させました。これは、Sony Pictures Imageworks チームの今後の制作方法を転換するプロジェクトとなりました。

リアルタイムへの道

この短編制作の第一歩は、適任のクルーを集めることでした。Sony Pictures Imageworks の 900 人のアーティストに、リアルタイム レンダリングに興味があるか問い合わせました。名乗りを上げたアーティストを面接し、プロジェクトについて説明しました。「大変になるだろうとは分かっていました」と Chen 氏は振り返ります。「プロジェクトを成功させられるという保証はなく、信じて思い切るしかありませんでした」

45 人のクルーがそろい、Oddy 氏が呼ぶところのナーフ (おもちゃ) レベル、つまり短編の世界とカメラ レイアウトのベースの構築に取りかかりました。 そしてエンジンで 15 分の動画の絵コンテを完全に作成して各シーンの振り付けをし、Zbrush と Maya からアセットもインポートしました。ヒーロー キャラの 3 人のアクターをスキャンする一方で、MetaHuman Creator を使って 3 人のサブキャラを数分で作成しました。これが実は MetaHuman がリアルタイム リニアコンテンツ制作に統合された初の例になりました。素晴らしい結果になった、ということに加えて、Sony Picture Imageworks からのフィードバックが開発初期の MetaHuman Creator をより良いものにすることになりました。
Love, Death + Robots | Courtesy of Netflix
「MetaHuman は実に画期的です」と Chen 氏は話します。「キャラのリグがすでに設定されていて、Unreal Engine 用に完璧にセットアップされています。しかもリアルタイムに機能するので本当に強力です。クリエイターは座ったままでキャラを作成し、動作を確認できます。アセットを作ったり、キャラをスキャンしたり、テクスチャを適用したり、リグを設定したりするために時間を使わずに済みます。ドロップするだけでよいのです」
Love, Death + Robots | Courtesy of Netflix

効率的な制作

レイアウトと振り付けが終わったら、アニメーションに移ります。これには Xsens スーツを使い、モーション キャプチャで最初のアニメーション パスを完成させました。Take Recorder のおかげで、ステージ上の演技者はキャラとリンクした自身の動きを Unreal Engine 環境で確認でき、現場での最終ショットを想像に頼る必要はありませんでした。これにより、その場で判断を下していくライブ アクション フィルムにより近づいたと言えます。

「シーケンスを確実に決めてから撮影をする、ということはほとんどありませんでした」と、短編のアセットおよびリアルタイム スーパーバイザー、Jeremy Sikorski 氏は振り返ります。「自分たちが求めるものを正確には掴めていないものの、一般的にどんなアクションが必要になるかは分かっていました。Unreal Engine のシーケンサーを使って異なるテイクをピックアップするのは、非常に簡単でした。演技がしっくりこなければ、ショットの再レンダリングをリクエストして待つのではなく、さっと目を通して別の選択肢を見つければいいのです」

Oddy 氏によれば、変更を加えられるこの機能によってリワークのための遅延がなくなり、チームの作業が大幅に加速し、コラボレーションも活発になりました。「従来のパイプラインでは、制作が進むにつれて映像が固まっていき、ショットを新たに撮るには大抵パイプラインの始めまで戻る必要があります」と彼は説明します。「リアルタイム制作では、手戻りがありません。ライブでそのときに作業します。クルーが少なくても、常に新しいアイデアを出し続けることができます。土壇場で編集し直しても問題ありません」

モーション キャプチャによるアニメーション パスが完成したら、Maya でのクリーン アップ後、FBX リグ データが Unreal Engine に送信されます。最終ピクセル レンダリングはすべて Unreal Engine で行われ、ポスト プロダクション作業は最小限で済みました。
Love, Death + Robots | Courtesy of Netflix
「Unreal Engine なら、プレイブラストで作ったモノクロのレンダリングではなく、完全な形でアイデアを視覚化できます。つまり、ムービー レンダー キューによって最終的なレンダリングされたフレームも、正確なモーションブラーも含めて、ビューポートに表示されている画像と酷似しているということです」と Sikorski 氏は話します。「私たちのポストプロセスは簡単に済みました。基本的には一部のショットにフィルム グレインやレンズ フレアを加えただけです。洞窟内の虫や生物が吹き飛ばされるなどの効果はすべてレンダリングで行い、追加することはありませんでした」

作業の壁を解消

リアルタイム ワークフローは、現場での制作や撮影後の作業を効率化すると同時に、In Vaulted Halls Entombed チーム内でアーティスト主体のクリエイティビティを促進しました。Sony Pictures Imageworks の部門間にあった壁は、あっという間に取り払われました。アーティストたちは、何時間もレンダリングを待つことなく目の前でシーケンスを再生して確認でき、他部門の手を借りなくても調整できます。各人がいくつもの役割を担い、アニメーションから照明まで、すべて同じプラットフォームで仕上げることができました。

「Unreal Engine を始めることは、どなたにもお勧めできます。高忠実度の作品を数日や数週間で制作できます」と Sikorski 氏は話します。「以前は最初のビジュアルを目にするまで数か月や数年かかっていました。ですからこれは、今後のあらゆる制作にとって大きな転換点と言えます。私たちが 25 年以上使い続けたパイプラインを見直すきっかけとなった Unreal Engine とリアルタイム レンダリングは、今後も私たちの活動の大きな部分を占めるでしょう。映画制作会社および CG アーティストとしての私たちの歴史の中で、刺激的な瞬間を迎えていることは間違いありません。ショット作成のスピードやクリエイティビティによって、デジタルスペースでの映画制作が普及するでしょう」 

Love, Death + Robots: Vol3. のエピソードの一つである In Vaulted Halls Entombed (地下に眠りしもの)は Netflix で配信中です。

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