Image courtesy of Wevr

ジョン・ファヴロー氏と Wevr が生み出した、感情的な結びつきを重視した VR ゲーム Gnomes & Goblins

2021年1月7日
先見性のある映画監督、ジョン・ファヴロー氏は、高い評価を受けた VR による海のエクスペリエンス、theBlu を見たことからインスピレーションを得て、独自の VR プロジェクト Gnomes & Goblins を制作しました。このプロジェクトは、theBlu のディレクター、Jake Rowell 氏がディレクター兼エグゼクティブ プロデューサーを務め、インタラクティブ ソフトウェア スタジオ、Wevr が開発しました。Wevr は CEO の Neville Spiteri 氏と Rowell 氏が共同で創業した企業です。

ファヴロー氏、Rowell 氏、Spiteri 氏の 3 人は、映画、ゲーム、TV シリーズの数々のヒット作で中心的な役割を果たした実績があります。たとえば、ライオン・キングジャングル・ブックアイアンマン 3 部作シェフ 三ツ星フードトラック始めましたマンダロリアンファイナルファンタジーIXファイナルファンタジー (映画)スーパーマン リターンズコール オブ デューティアポロ13ターミネーター 2:3-Dメダル・オブ・オナーなどの作品に携わってきました。

Gnomes & Goblins はファンタジー アドベンチャー VR ゲームです。AI を使って、キャラクターおよびキャラクターが住む世界とプレイヤーをつなげます。「ゲームというよりもシミュレーションだと考えています。プレイヤーを旅に招待して、Buddy という名前のゴブリンがガイドします。プレイヤーは、この夢のような、魔法のファンタジー世界の一部となります」と Spiteri 氏は述べています。
 

チームではこのプロジェクトに 5 年間取り組んできました。プレビューを 2016 年に、完成した製品を 2020 年 9 月にリリースしました。それ以来、熱心なファンを獲得し、好意的なレビューが多数寄せられています。Voices of VR の Kent Bye 氏は、この作品では VR における 「最も美しいワールドビルディング」が行われていると述べています。

リアルタイム エンジンの選択

Gnomes & Goblins は Wevr にとって初めて Unreal Engine を使うプロジェクトでした。ただし、チーム メンバーの一部はそれまでに Unreal Engine を 10 年以上使っていました。現在では、Unreal Engine は Wevr の主要な開発プラットフォームとなっています。Unreal Engine が選ばれた主な理由として、まず、ビジュアル スクリプティング システム、ブループリントが使えることが挙げられます。ブループリントを使うと、プログラマー以外の人もノードをつなげて簡単にスクリプトを作成できます。また、ソースコードに無料でアクセスできることも理由の 1 つでした。チームでエンジンの仕組みについてよく理解し、挙動やパフォーマンスの問題について調べられるだけでなく、特定のニーズのためにコードをカスタマイズすることもできます。

Rowell 氏は次のように述べています。「Unreal は柔軟性がとても高く、機能が豊富です。Unreal Engine でブループリントを使うと、新機能のプロトタイプをすばやく作成できます。これは Gnomes & Goblins にとっては理想的なことでした。自分で調べ、理解し、強化できるエンジンを使って仕事をするのはすばらしいものです」

テクニカル ディレクター、Scott Reeser 氏は次のように述べています。「Unreal Engine のおかげで、アーティストとデザイナーは Gnomes & Goblins の世界をすぐに作り始めることができました。ソース コードにアクセスでき、スクリプト可能なビルド システムがあるので、アート チームが追求していたルックデブの目標をエンジニアリング チームが達成できるようになりました。また、アセットのセットに基づいて特定の最適化を行うことができました」

ノンリニア環境でのクリエイティブなストーリーテリング

Rowell 氏は、ゲームが魅力的なものになった要因として、ファヴロー氏のクリエイティブなストーリーテリング能力を挙げています。「ジョンが初期のコンセプトとスケッチを準備して私たちにアプローチしてきたとき、VR というメディアについて探ることに適した、すばらしいストーリーラインと魅力的なキャラクターであるとすぐにわかりました」と Rowell 氏は述べています。

「映画に精通したジョンは、このエクスペリエンスへのアプローチとしては、筋書きから入るのではなく、エクスペリエンスで生み出したい重要な要素や感情から始めるのが適切だとすぐに理解しました」と Spiteri 氏は述べています。
 

VR ゲームの制作と映画の制作は大きく異なります。Wevr のリード デザイナー、Skyler Clark 氏は次のように述べています。「VR は未知の世界で、まだいろいろと探って発見しているところです。古い決まり事は忘れる必要があります。デザインに関する従来の原則が想定した通りに働くとは限りません。これまでのやり方が通じないということは、プロセスにとっての課題になると同時に、VR を楽しいものにしています」

VR エクスペリエンスでは、映画とは異なり、プレイヤーが周囲を見回すことができ、多くの場合では動き回ることもできます。そこで、チームは、ストーリーの重要な瞬間が見落とされることがないようにする必要がありました。そのために、C++ とブループリントを組み合わせて、スクリプト可能なイベント システムを開発しました。「このシステムによって、ユーザーは、私たちが伝えたいと考えていたストーリーの重要な瞬間を見逃すことなく、世界を自由に歩き回ることができるようになりました」と Rowell 氏は述べています。

AI で生み出す感情的な結びつき

ゲームが成功を収めた重要な要因の 1 つは、主要なキャラクターである Buddy との間にプレイヤーが感情的な結びつきを築くことができる点にあります。そのために、AI システムを使い、バーチャルなガイドである Buddy がプレイヤーの動きやアクションに反応するようにしています。

Spiteri 氏は次のように述べています。「ずっと、このキャラクターに息を吹き込む方法を見つけだそうとしていました。そのためには、Buddy の脳について深く考えることが重要でした。AI モジュールと、人工知能のヒューリスティクスのセットを作成することで、Buddy がさまざまな形でプレイヤーにインテリジェントに反応できるようになりました。 ここではブループリント機能を活用するとともに、C++ でルーチンを開発しました。そして、この 2 つを組み合わせて、Gnomes & Goblins の中心となる AI 感情システムを構築しました」

「まず、目の結合性に関する AI に集中して取り組みました。プレイヤーを見るときの目や、プレイヤーに反応するときの目です。AI は、手の位置や手でつかんでいるものを把握しています。複数のキャラクターによる一連のアクションを通じて世界を築くことができるのです。これはすばらしいことです。まだまだ大きな可能性があると思います」と Rowell 氏は述べています。

Buddy の生みの親は、結果にとても満足しているようです。ファヴロー氏は次のように述べています。「Wevr が VR 内で私の当初のビジョンに息を吹き込んでくれた結果にはとても満足しています。最初のころの、ラフなスケッチと抽象的なコンセプトの段階から、Wevr のチーム全体がプレイヤーとキャラクターの感情的な結びつきを強化することに取り組んでくれました。これによって、Gnomes & Goblins は世界中のプレイヤーの心のなかで特別な場所を占めることができるでしょう。私たちは、Gnomes & Goblins がバーチャルなテーマパークの乗り物であるかのように感じられるよう、雰囲気や感情を作り出すことに努めてきました。世界中が魔法に満ちていて、あらゆる場所に意図がある、そういったものを目指しました」
Spiteri 氏と Rowell 氏は、すでに Wevr の今後の展開について考えています。Spiteri 氏は次のように述べています。「現時点で一番重要なのは継続することです。今後数年間で Unreal Engine 5 がどうなるか、新しいデバイスでどのような可能性が開かれるかを予測し、今回の成果の発端を足掛かりに開発を続けていけば、チャンスにつながるでしょう」

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