Image courtesy of Preymaker LLC

Preymaker が Blue の新たなリアルタイム短編トレーラー (と、その制作プロセス) を初公開

2022年6月29日
The Mill New York の元共同創設者 Angus Kneale 氏率いるクラウドネイティブ スタジオ Preymaker による短編アニメーション映画 Blue のトレーラーが本日初公開されます。このプロジェクトは制作総責任者 Angus Kneale 氏と監督 Preymaker の Rob Petrie 氏の下で、Unreal Engine のリアルタイム テクノロジーを使用して制作され、アニメーションウィーク期間中に試写会が開催されます。
 

Preymaker は Angus Kneale 氏によって、The Mill New York の同僚であった Melanie Wickham 氏と Verity Grantham 氏と共に 2020年に設立されました。Preymaker はクラウド特化型の仕事をする、受賞歴のあるクリエイティブ アーティスト、技術者、プロデューサーのグローバル チームで、ブランド キャンペーンや没入型のゲームからメタバースのコンテンツまであらゆるプロジェクトに取り組んでいます。Preymaker の直近のプロジェクトである Blue は、リアルタイム アニメーションの水準を引き上げる画期的な SF 短編映画です。

チーフ クリエイティブ Angus Kneale 氏は、「戦略的かつ独創的に創造力に結び付けられたテクノロジーは、Preymaker の推進力であり、私たちの会社、メーカー、クライアントの成功への鍵です」と語ります。

クラウドベースのアプローチの採用

今後数年のうちにプロダクションのワークフローにおいてクラウドが重要な役割を果たすことになると将来を見据えていた Preymaker チームは、たまたまパンデミックが起きる直前に、クラウドベースのインフラストラクチャを選定していました。世界中でロックダウンが始まったとき、Preymaker チームはすでに仮想化ワークフローを築いており、このことがチームの作業が途切れず継続することに役立ちました。このスタジオのクラウドファースト アプローチによって、世界各地の最適な人材にアクセスできるだけでなく、入手可能なテクノロジーの迅速なイテレーションも可能になります。その上、データ量が多いアセットを絶えずあちこちに転送する必要もありません。

クラウドベースのワークフローを最大限に活用した Preymaker は、Unreal Engine を使用し、Epic MegaGrants による一部資金提供を受けて、直近のプロジェクト Blue を制作しました。Blue とその若い主人公 Jules により、Preymaker チームは、私たちのカルチャーで適切に表現されてこなかった視点から物語を伝えようとしました。そこで望んでいたのは、より多様性に富んだ世界に人々の目を向けさせることでした。
「多くの専門分野にわたるグローバルなチームに Blue に取り組んでもらうことが重要でした。世界はときとして恐ろしい場所であり、特に若者にとってはそれがあてはまります。Jules の世界では、多くの恐怖と不安が渦巻く中で、驚きと勇敢さの空間を作り出すことに力を合わせて取り組みたかったのです。SF に挑戦しようと思ったのは、私たち自身の世界のリアリティを屈折させるのにぴったりの手段だったからでした」と Blue の監督 Rob Petrie 氏は語ります。

この物語は日々進展していますが、Blue は、星を見上げて、まだ見たことのない、想像したこともない世界や銀河を探索するようになるのだろうかと思いを巡らせている若い女の子のお話です。この物語を一つに結び付ける中心的テーマは愛と探検です。 Preymaker は、このプロジェクトがアニメーション短編に留まらないことを熱望しています。
Image courtesy of Preymaker LLC
Preymaker は、このプロジェクトがただアニメーション短編に留まらないことを強く望んでいます。プロジェクトが展開していけば、Blue はモバイル ゲーム、AAA/VR ゲーム、ライブ アニメーション シリーズ、メタバース エクスペリエンスにすることもできます。「ストーリーテリングとそれを実現する Epic のバックエンド リアルタイム テクノロジー、および Jules の物語を忠実に共有するために招き入れる監督や脚本家により、Blue はそれらすべてのフォーマットに対応させられるでしょう。そして、何よりもそのことに一番ワクワクしています」と Petrie 氏は語ります。

Unreal Engine が選ばれた理由

Preymaker は、チームがアニメーションの忠実度に関して既成概念を超えるレベルを望んでいたため、Unreal Engine を使用しました。アニメーション自体のキーフレーム設定は Maya で行われていましたが、リギング、およびアセットを 1 対 1 の変換として Unreal Engine に取り込むプロセスは、このプロジェクトの最も複雑な側面の一つでした。

「ほどなくして、Alembic ファイルが膨大すぎて Unreal に取り込むことができないことがわかりました。具体的には約 200 のショットがありました。そして、主人公のキャラクター用のリグのセットアップで、コントロール用としてアニメーターに提供するべきボーンの数が非常に多くなっていました。Jules を生き生きとさせるためには、多くのボーンが必要だったのです」

「複雑な動きと形状に関してアニメーターが使用するコントロールの量については、Pixar が大いにヒントを与えてくれたので、私たちはリグのイテレーションごとにそのことを肝に銘じていました。達成したい忠実度レベルやわずかな動きを実現するために必要となるコントロールは 100 を超えていました」
Image courtesy of Preymaker LLC
キャラクターをデザインするやり方の大きなメリットの一つは、完全にアニメーション化されたショットを Unreal Engine でスクラブでき、完成されてライティングが適用されたシーケンスを再生できることでした。Preymaker チームは、Edit Decision List (EDL) を Unreal Engine に取り込む内製ツールも開発しました。そのツールは、すべてのアニメーション クリップをシームレスにコンパイルし、それらを Jules のスケルタル メッシュにつなぎ、あらゆるものを正しいタイム コードでシーケンサー内に配置できました。

クリエイティブなコラボレーション

Blue は、アニメーター、モデラー、FX、Unreal Engine アーティストの約 20 人のチームで 8 か月以上かけて制作されました。アニメーション チーム全体は南アフリカを拠点としていましたが、Kneale 氏と Petrie 氏はそのチームとの Zoom によるアニメーション レビューを毎日行うことができ、ShotGrid を使用してシームレスなプロジェクト管理ワークフローを確実に行うことができました。Petrie 氏は次のように語ります。「私たちのチームは同じ部屋にいてこのプロジェクトに共同で取り組むときはないと考えていたのは注目すべきことです。プロジェクトのあらゆる側面とコンポーネントがリモートで行われました。ほんの 3 年前でも到底不可能と思われていたことです」

これまで経験を積んでいたのは従来型の 3D アニメーションだったため、このチームは実制作を行う時に Unreal Engine で作業をする方法を学ぶ必要がありました。Unreal Engine で直接作業をする 5 人の小規模チームで、そのチームのうちの 3 人がすべてのショットのライティングとレイアウトを担当しました。「200 以上のショットを撮影してそれを分担し、Unreal でライティングを適用し、各シーンのレイアウトをすべて行いました。そうすることで、プロジェクトを仕上げるには不可欠とされる、プロセス全体での合成を行わないことにしました」と Petrie 氏は語っています。
Image courtesy of Preymaker LLC

バーチャル映画セット

Blue での Unreal Engine ベースのワークフローは、Preymaker のチームが過去 21 年にわたって行ってきたプロセスと比べると、革新的であることが判明しました。Petrie 氏は次のように語ります。「私たちはセット製作、アート ディレクション、およびライティングに関して、まるで映画セットにいるかのように扱うことを望んでいました。VFX でこれまで見てきた現実世界の実写環境に最も近いと感じ、プロダクションでの撮影監督であることに違いはないと感じられました」

「ライトをリアルタイムであちこちと動かし、レンズを変え、焦点距離と F 値を設定しました。それはプロセスのあらゆる面で大変革をもたらすものでした。最初のパスの後にそれをテストするためにレンダリングを開始する必要がなくなりました。目の前にリアルタイムでセットがあり、シーンの雰囲気を変える場合も、数日ではなく数分で変更ができました」

何人かの世界最高の撮影監督から実際のセットで学んだスキルを Unreal Engine 内でも適用できることは大きな利点でした。「私のことを知っている人はプロダクションでの忍耐強さは私の苦手分野だとわかっています。試してみてすぐに結果を得られることがとても気に入りました」と Petrie 氏は語ります。
Image courtesy of Preymaker LLC

Unreal のメリット

具体的には、ライティング機能とレイアウト機能は Preymaker にとっての Unreal Engine の魅力の重要な部分でした。Petrie 氏は次のように語ります。「ライティング ツールは、私たちがこれまで 3D パッケージやレンダラで使ってきたどのツールよりも優れています。Unreal Engine 内でシーンに照明を当てる場合、映画セットのような感覚に最も近い自然な感覚でアプローチできます」

「言ってみれば、シーンごとにトラックの荷台からライトを降ろして、それを運び入れ、被写体に合わせて調整するようなものです。そして、すべてのシェーダーをつないだ状態でアニメーションをリアルタイムで前後にスクラブできることは、信じられないほど素晴らしいことでした。ブルーのジェルをライトの上に置き、Jules の顔の側面に当たるように少し動かして、まさに思いどおりに見えるショットを撮ることができました」
Image courtesy of Preymaker LLC
Unreal Engine のセット製作面も、リアルタイム プロダクションを革新的にする重要な部分です。オブジェクトを選択し、それをその場であちこち動かしたり合成から取り除いたりできることも、私たちのチームにとって大きな利点でした。Petrie 氏は次のように語ります。「エディター内でシーケンス全体を再生できることは、ショットがどのように効果を発揮し、どのようにまとまって流れているかを感じ取るための素晴らしいやり方でした」

アニメーション パイプラインの進化

Unreal Engine が Preymaker のプロダクション パイプラインを変えたことには疑う余地がなく、チームはこのツールの使用について学び続けています。「Unreal Engine はバージョン管理ソフトウェアを使用するという概念を提起し、そのことがこのエンジンを VFX ツールとして利用しようとするときに、いくつかの課題を提示しました」と Petrie 氏は語ります。

チームが克服すべき主な難関の一つは、アーティストに Perforce での作業に慣れてもらうことでした。Petrie 氏は次のように語ります。「より従来型の VFX とアニメーションの経験があるため、バージョンを持たないという概念を理解するには少し時間がかかりましたが、それがしっくり来るようになるとすぐに、普通の直感的なプロセスになりました」

Preymaker はメタバース エクスペリエンスから VR ゲームまで、さまざまなクリエイティブ プロジェクトに Unreal Engine で取り組み続けています。私たちのチームは Blue が最終的に完成形になり、Preymaker に参加する脚本家や監督によって命が吹き込まれて、Jules と Blue のカルチャーと物語の考えが忠実に反映されることを望んでいます。
Image courtesy of Preymaker LLC
「Unreal Engine は Preymaker がアニメーション プロジェクトをすべてインカメラで行うことができるようにし、ランク付けすべきショットをエクスポートすればよいだけにしてくれました。次のステップは Unreal Engine 内で、ライブでランク付けできるようになることです。さらなる進歩の可能性を探れることに、大きな期待を寄せています」

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