次世代ゲーミング: テクノロジーがゲームの未来を引き受ける

Brian Crecente |
2021年4月8日
編集者注: ゲスト著者の Brian Crecente は、ビデオゲームのサイト Kotaku を設立し、Polygon を共同設立しました。彼はまた、Rolling Stone 誌および Variety 誌でビデオゲームの編集者も務めていました。現在、Pad and Pixel で出版社とビデオゲーム業界のコンサルティングを行っています。
ソフトウェアとエンジンのイノベーションは最新のビデオゲームの原動力となりますが、ハードウェアとその進歩するテクノロジーは次世代を定義します。
 
ゲーム開発における最も重要で飛躍的な発展は、新しいテクノロジーの裏側から始まります。たとえば、物理チップやオーディオ ハードウェアの改善、そして最近では SSD の普及などがそれに該当します。

テクノロジーにおける重大な変化を取り入れることによって、ビデオゲームの開発に直ちに影響が出る場合があります。そのようなものの例としては、特に SSD を挙げることができます。

これは、PlayStation 5 のローンチを見るとよくわかります。PlayStation 5 は、高速のデータ ストリーミング用にカスタマイズされた SSD が搭載されています。つまり、PlayStation 5 は、SSD のデータにアクセスし、記録的な速度でメモリ内の特定の場所に直接配置することができることになったのです。コンソールの入出力システムにおけるこの飛躍的な発展により、HDD とプロセッサの間に長い間存在していた大幅な遅延が取り除かれました。この遅延は発展の制約になりつつあったものです。

I/O 速度の向上によって開発状況がどれだけ改善されるかは、Unreal Engine の Nanite マイクロ ポリゴン ジオメトリ ツールを見るだけで分かります。

Nanite は、画像を取得し、それを数百万、数十億の拡大縮小可能な三角形に分解します。さらに、このソフトウェアは、カメラが見える範囲のデータだけを高速な SSD からコンソールのメモリに直接ストリーミングします (非常に正確なアルゴリズムにより、正面を向いていないものや遮られているものはすべて削除します)。

「この機能により、3D モデルには複数の LOD が不要になります」と Epic Games の Sjoerd De Jong は言います。「ただし、それを動作させるためには、非常に迅速にデータにアクセスできる必要があるとともに、データが不要になり次第同じように迅速に削除できる必要があります。SSD は超高速であるため、コンテンツはほぼ瞬間的にロードされます。長年にわたり、グラフィックスの主な関心事は 3D 能力にありました。しかし、その進歩は、古い機械仕掛けの HDD が動く速度によって制限され始めてきました。しかし、SSD が標準になりつつある現在、HDD によって制御されていたグラフィック能力に変化が起きています。おそらくこれは 3D ゲーム史上初めてのことでしょう。」

ハードウェアの進歩は、ゲームメーカーやプレーヤーに力を与えてくれます。そのような方法は無数にあり、SSD もその 1 つにすぎません。Alienware、AMD、Intel、Logitech、NVIDIA は、それぞれ何年にもわたってハードウェアの世代交代を繰り返してきました。そこで今回、ハードウェアの進歩に関して考え方を聞くことになりました。

Alienware

より没入度の高いゲーム体験を提供することを目指す不断の努力は、コンピュータがプレーヤーの目や耳、指先と行う複雑な会話に依存しています ― と Alienware メッセージング担当リードの Eddy Goyanes 氏は述べます。

「つまり、ディスプレイ技術においては、一層スムーズなアクションとより豊かなグラフィックスが目標となるのです」と彼は述べます。

たとえば、2018年 Alienware はラップトップ向けに 4 つの異なるパネル テクノロジーの提供を開始するという決定を下しました。ディスプレイのオプションには、リフレッシュ レートが 60Hz、144Hz、240Hz、360Hz のフル ハイビジョン スクリーンから、超高解像度 OLED ディスプレイまで、あらゆるものが含まれるようになりました。 

「手が PC に触れるインターフェースも発達しました。これには、タッチパッドやキーボード、マウスなど、あらゆるインターフェイスが含まれます」と Goyanes 氏は言います。「それらはすべて、パフォーマンスと人間工学に特化した改善が行われています。それらは、さまざまな意図を込められた改善となっています。たとえば、プレイヤーにゲーム中に優位性を与えるためであったり、構成の美的感覚を際立たせるためであったり、キーストロークをより深くするためであったり、快適さを目指したマウスと手の整合性のためであったりします。場合によっては、お気に入りのゲームをプレイしている間にメタファー的な拡張性を感じてもらうためであったりもします。」 
Alienware 製 Aurora Ryzen Edition R10
「このような漸進的な技術の改善は、より魅力的で、豊かで、楽しい体験を提供する目的としていて、今後数年間、その進歩が止まるという可能性は低いです。」Alienware はまた、ゲームで新たにネックとなっているものを特定し解決するために相当の時間をかけています。

「一部業界では、『全体の強さを決めるものは、その中で最も弱いピースだ』と言われることがあります。このことを PC ゲームで考えてみれば、いくつかそれに類するものを挙げられます」と彼は語ります。「まず、ストレージがそうです。ここ 10年間で、SSD の技術をシステムに取り入れるゲーマーが増えてきました。(ゲーム内の) 個人的なファイルやプログラムを PC に読み込む時間を短縮するためです。また、ネットワークも「弱いピース」と考えらます。ここ 1年間で Alienware のゲーミング ノートブックは、2.5 GB のイーサネット接続と 802.11ax ワイヤレスを搭載するようになりました。インターネットの状況に目を向けると、5G ネットワークとクラウド ゲームが大きな話題を呼んでいますね。」 

「これらのテクノロジーはすべて、コンテンツをより速く配信し、コンテンツの読み込みと配信のボトルネックを解消するためのものですが、今の時点では、どれが完全に成熟し、どれが最も長く存続することになるのかは予測困難です。」

AMD

CPU と GPU の両方を供給している AMD は、ハードウェアのニーズを明確化し、それらの将来の方向性を決めるというユニークな立場にあります。

Scott Herkelman 氏 (AMD のグラフィックス ビジネス ユニットのコーポレート バイスプレジデント兼ゼネラル マネージャー) によると、新たな世代に向かってビデオゲームは、よりリアルなものに変わろうとしている狭間にあるといいます。その変化は、忠実度が高いビジュアルと、強力なハードウェア、新しい革新的なエフェクトが組み合わされることによって実現されるとのことです。

「たとえば、レイトレーシングによってリアルでもの凄いビジュアルが実現できるようになりましたが、これは、AMD の CPU と AMD RDNA 2 アーキテクチャ ベースの GPU を搭載した複数のゲーミング プラットフォーム ― PC、ラップトップ、Xbox Series X および PlayStation 5 のコンソールなど ― で利用可能になりました」と Herkelman 氏は言います。 

「また、他のテクノロジーによっても、デベロッパーは驚くべき機能を将来のゲームにかつてないほど簡単に組み込むことができるようになるはずです。AMD は、そのために Epic などのデベロッパーと緊密に協力を行っています。」

そのような例の 1 つに、DirectX 12 Ultimate API が挙げられます。この DirectX 12 Ultimate API は開発プロセスを簡素化してくれます。AMD RDNA 2 のグラフィックスを搭載している PC と Xbox Series X コンソールに向けて、同じ共通のグラフィックス API とグラフィックス アーキテクチャを使ってゲームを作成することができるようになるからです。それにより、開発者はレイトレーシングなどのような高度なエフェクトをより多くのゲームにすぐに導入できるようになります。可変レートシェーディング (VRS) やメッシュ シェーダー、サンプラー フィードバックなどの DirectX 12 Ultimate の追加機能により、デベロッパーはより没入度の高いゲーム環境を作成できるようにもなると同氏は述べます。「AMD の RDNA 2 GPU によって、新たなレベルのパフォーマンスが実現します。それによって、次世代型高水準ゲームを動かすことが可能となります」と Herkelman 氏は言います。
AMD Ryzen プロセッサと AMD Radeon RX グラフィックス カードを使っている PC での Godfall のスクリーンショット
「さらに、エコシステム全体におよぶ他のテクノロジー プロバイダーと協力することによって、最高のエンドツーエンドのゲーム体験がもたらされるようになります。たとえば、ディスプレイ メーカーと協力して AMD FreeSync テクノロジーを組み込むことによって、次世代ディスプレイ上で滑らかでカクつきのないゲーミング ビジュアルを実現することも可能になります。」

しかし、CPU コアとグラフィックスのパフォーマンスについて考えると、忠実度が高くリアルなビジュアルとエフェクトに向かう次世代の取り組みには負荷がつきものです。

「たとえば、レイトレーシングは、従来のラスタライズに比べてパフォーマンスが大幅に低下します」と Herkelman 氏は述べるとともに、AMD が CPU と GPU の両方を供給しているため、ビジュアル体験の向上に向けてゲーミングのエコシステムと協力するユニークな立ち位置にあることも付け加えました。

それによって得られた知識は、AMD SmartShift や AMD Smart Access Memory といった新テクノロジーとして結実しました。AMD SmartShift は、AMD CPU / CPU 間で電力を自動的にシフトすることによってパフォーマンスを最適化するテクノロジーです。また、AMD Smart Access Memory は、高速な GPU VRAM へのフルのアクセスを CPU に与えるためのテクノロジーです。

「視覚的な忠実度のレベルを上げると、ゲームは必然的にサイズが大きくなり、高解像度のテクスチャのためにより多くのスペースが必要となり、ロード時間も長くなることが考えられます」と Herkelman 氏は指摘します。「この潜在的なボトルネックを緩和するために、新世代のゲーミング PC とコンソールでは、高速の PCIe 4.0 ストレージが利用されることによって、ロード時間が大幅に短縮されることでしょう。」同社はまた、QOL にかかわる問題を改善する取り組みも行っています。

「ゲームをより滑らかで没入度が高く応答性の高いものにするテクノロジーは他にも多数あります。たとえば、AMD FidelityFX デベロッパー ツールキットは、よりシャープで非常に明瞭なビジュアルを提供してくれます。また、Radeon Anti-Lag は、マウスやキーボードでクリックしてから画面上にレスポンスが現れるまでの時間的ギャップを削減しれくれます。これは、e スポーツなどのゲームで有利に競技を運ぶことができるようになります。」 (Herkelman 氏)

これらの改良とテクノロジーの飛躍はすべて、より没入度の高く、圧倒的なゲーム体験を生み出すための契機となることでしょう。しかも、より刺激的なエフェクトや映画のような視覚的忠実度をともないながらも、ロード時間が過去のものとなるような驚異的なパフォーマンスも現実のものとなることでしょう。

「最新のゲーム体験は、これらの改善とテクノロジーの飛躍的進歩から生まれるはずです。待ち時間は少なく、よりエキサイティングなエフェクトが使われ、パフォーマンスが向上し、極めて高い視覚的忠実度を備えたゲームがもたらされることでしょう。」と Herkelman 氏は述べます。

Intel

PC は、オープンで多用途性をともなう、高パフォーマンスの優れたゲーミング プラットフォームであり、ゲーミング体験を発展させるイノベーションのためには最高の場所であることは今後も変わらない ― というのが Intel の中心的な信念です。このように語るのは、Intel Corporation のゲーム ソリューションでゼネラル マネージャーを務める Kim Pallister 氏です。同社は、今後 10年間で、いつくかの重要な基調トレンドによって牽引されて、ゲーミング体験はものすごい進歩を遂げることになる予測しています。

クラウド コンピューティングの可用性が上がることによってゲームはよりよいものになると彼は言います。

「特にワクワクさせてくれるゲームは、パワフルなクライアントとクラウド内のパワフルなコンピューティング、それとストレージを活用するものです」と彼は言います。

これにより、デベロッパーは一層バックエンドのコンピューティングに専念することによって、制作するワールドのサイズと同時接続数を増やすことができるようになります。同時に、これらのワールド内で可能なインタラクションのレベルを高めることも可能になります。

「サーバーベースの物理は、よく論じられるボトルネックです。サーバーベースの物理では、分散処理が格段に進む可能性が大いにあります。そして、そのことによって、より広く豊かで人口の多いワールドで精密でリアルなインタラクションが実現されるようになります」と彼は付け加えます。「Epic がフォートナイトで開催した複数ユーザーによる巨大イベントや、Microsoft が Flight Simulator でストリーミングした高詳細なワールドは、序章に過ぎません。クラウドは、開発ワークフローでデータセンターを利用するゲーム クリエイターにも役立つことになるはずです。そのようなワークフローでは、機械学習を利用することによって、アセットのクオリティや多様性を向上させることになります。また、NPC の AI とアニメーションでさえ強化の対象となりそうです (例: DeepMotion)。サーバー側のパワーが膨大であるため、研究者たちの潜在能力を制限するものがなくなりました。アルゴリズム ベースの改善を開発し、容易に展開させることによって、ユーザー体験のあらゆる側面に取り組むことができるようになったのです (例: ノイズ除去やスーパー サンプリング)。Intel がフォローしている大きなトレンドはもう 1 つあります。それは、基礎となるシリコンの計算能力/効率/並列処理における改善が進んでいるというトレンドです。

このトレンドによって、デベロッパーがクライアントとサーバーの計算能力を向上させるチャンスが引き続き見込まれるだろうと、Pallister 氏は述べています。しかも、あらゆるタイプのゲームのパワーと効率を改善するためにリリースされているコンパイラとツールは、その着実な進歩が途切れることはないと言います。彼は、その例として、同社が ISPC を使用して Epic と協力しながら Chaos Physics (ケイオス物理) のパフォーマンスを向上させている仕事を挙げました。
画像協力: Microsoft の Flight Simulator
「基本的に電力は、ゲーム体験の非常に多くの側面で足枷となっています。それは、データ センターの電力消費コストの場合もあれば、ラップトップの熱による制約の場合もあります。私たちは、Intel 製品全体において、そのような領域にある電力/パフォーマンスにデベロッパーが簡単にアクセスできるようにすることを重視しています」と彼は言います。また、人間面でのゲーム開発コスト (アーティストの生産性など) が上昇しつつありますが、これとの戦いは、クラウドと機械学習によるアプローチにますます依存するようになります。そこで私たちは、現在のワークフローを大幅に向上させるために、AI と Nanite などのツールを研究しています。」

ゲームはテクノロジーを前進させ続けます。それにしたがって、ユーザーが必要としていることにプラットフォームが対応できるようになるはずです。これは、洗練された形で広範囲に、あらゆるユーザー体験において起きるはずです。 ― このように Intel は考えています。

このようなことは、実はもうすでに起こっています。一例を挙げてみましょう。最初はフレームレートに注力していたけれども、それが拡張されて、遅延やロード時間もその対象とすることができたケースがあります。 

「確かに、すべてのゲーマーが同じニーズと要望を持っているわけではありません。だから、PC 業界は、多くのソリューションを応用、進化させ続けています。たとえば、高性能で薄くて軽いノートブックパソコンや、1440/240Hz のディスプレイをともなった e スポーツに特化した強力なラップトップなどがその例です。あるいは、4K HDR をともなった別方向への進化であったり、さらには、CPU と GPU の電力共有における進歩を利してバッテリーの寿命を伸ばすことに特化した方向にも進化は起きています」と Pallister 氏は述べます。「SSD がますます普及し、SSD からデータを復元する速度が高まると、『瞬間的なロード』とかリッチな環境のストリーミング (Nanite のような) の期待が高まります。今後 10年間、テクノロジーは飛躍し続けるはずです。特に、競争の激しい PC 業界では、ゲーミング エコシステムの壁に囲まれた庭よりも、オープン スタンダードによってより速い進歩が期待できます。

「このような完全なユーザー体験への傾注は、さまざまな分野へと広がっていくはずです。ゲーム内の要素とクオリティに留まらず、ゲーム外のコミュニケーションとストリーミングへと広がりを見せることでしょう。たとえば、不適切表現の防止や、より良質な音声とビデオ、より容易な共有とストリーミングのための堅牢なソリューションを実現できるコンピューティング パフォーマンスは、今よりもずっと楽しく、ハイクオリティなオンライン体験を実現してくれるはずです。」

Logitech

計算能力とグラフィックスの忠実度における革新は、ゲーム テクノロジーの飛躍として最もよく引き合いに出されますが、Logitech の視点は異なります。今世代において、マウス、キーボード、コントローラーなどの周辺機器をカスタマイズするための努力が最も影響力をもつと見なしているのです。

「アクセシビリティ コントローラーという物凄い進歩によって、ゲームプレイは民主的なものになりました。誰もがプレイできるようになったのです」と、Logitech の戦略的パートナーシップ マネージャーである Curtis Brown 氏は述べています。

Logitech G Adaptive Gaming Kit は、Microsoft の Xbox Adaptive Controller と互換性をもち、さまざまなボタンとスイッチが備わっているため、個人的なニーズに最適なコントローラーを作成することができます。

「これによって、自ら望む方法でゲームをプレイすることができる全く新しい層が登場しました」と Brown 氏は言います。私たちの多くは、自分のゲームプレイのスタイルに非常に関心をもっています。それは、色覚や、聴力、運動能力が十分ではない状態に置かれていても変わりません。このキットは、大手企業が初めて行った試みです。殻から外に出て、流れを変え、誰もがプレイし参加できるはずだと言ったのです。
Logitech の G Adaptive Gaming Kit
また、Logitech は、周辺機器への同社のアプローチを見直すために数年を費やしました。その結果、多くの製品を再設計することによって、仕事と目的に合った設計を行うべきであると分かったのでした。この見直しによって、同社はあらゆるサイズの手にフィットするマウスをそろえることとなりました。さらには、日常の使用から最小限の e スポーツプロ向けのものまで、あらゆる用途に対応する幅広いラインナップのキーボードを開発することを意味していました。

Brown 氏の考えでは、次世代周辺機器の新たな波が到来すると、より正確で高速なさまざまなマウス センサーの普及や、さまざまな触覚体験が可能なキーボード スイッチ、ハイエンド周辺機器全般の必要性を後押しし続ける e スポーツの隆盛が見られるとことになります。

Logitech のような企業にとって、長きに渡ってネックとなっていたものは、コンピューターとの入出力に関係するものでした。しかし、USB-C が定着し始めた現在、デバイスに多くの可能性の道が開かれました。たとえば、より多くの電力とより速い接続速度を要するデバイスなどを例として挙げることができると、Brown 氏は言います。また、ワイヤレス デバイスは進化を続け、最終的に有線のデバイスに取って代わるかもしれないと Brown 氏は予測します。

NVIDIA

2002年の DirectX 9 によるピクセル シェーディング以来、ゲーム開発における最大の飛躍はレイトレーシングであると、Brian Burke 氏 (NVIDIA ゲーム テクノロジーのグローバル PR プリンシパル) は言います。

「レイトレーシングは、ゲームの見栄え、プレイ方法、さらには開発方法さえも変えつつあります」と彼は述べます。「NVIDIA は 2018年、GeForce RTX GPU をリリースすることによって、ゲームでリアルタイム レイトレーシングを使用する道を切り開きました。この時、私たちは、専用の RT コアを追加することによって、レイトレーシングを高速化するとともに、ゲームでリアルタイムに使用できるようにしました。世界最高のゲーム シリーズがその機能を加え、人気の非常に高いゲーム エンジンと API によってサポートされるようになり、コンテンツ制作と設計のためのアプリケーションも数十個作成されました。そして、コンソールでさえレイトレーシングがサポートされるようになりました。」

ゲーム業界は、レイトレーシングがゲームにとってどのような意味があるのか、真に探求を開始したばかりだとBurke 氏は見ています。

「画像のクオリティというものは、ライティングやシャドウ、反射などの改善によって向上するものなのですが、一方で、ゲームプレイを変えることもあります」と Burke 氏は明かします。 

「コア ゲームプレイにレイトレーシングを最初に採用したゲーム Stay in the Light はすでにリリースされています。レイトレーシングは、鏡の反射のために使用されています。この鏡は、ランダムに生成されたダンジョンをプレイヤーが移動する際にモンスターの前進を阻むために使われるものです。ランダムに生成されるマップに反射をベイクすることは難しいため、レイトレーシングが使用されたのです。そのコンセプトを他のゲームのジャンルにも拡張してみましょう。FPS では、シャドウが敵の位置を教え、反射が敵の動きを教えることができますね。レイトレーシングされたシャドウとグローバル イルミネーションがホラーゲームに役に立つことも考えられますね。」

Burke 氏はまた、私たちが行うあらゆることを急速に変えつつあるテクノロジーとしてを AI を挙げています。ゲームも例外ではないと言います。
「AI は、レンダリング、物理、アニメーション、さらには放送に至るまで、ゲームに革命を起こすことになります」と Burke 氏は言います。「NVIDIA の DLSS テクノロジーは、ゲームにおけるリアルタイム AI の嚆矢となりました。ゲームをまず低解像度でレンダリングし、NVIDIA RTX GPU 上の専用 AI ハードウェア (Tensor Cores と呼ばれています) を使用して、ゲームをネイティブ解像度にアップスケーリングします。その結果得られる映像は、ネイティブ解像度に匹敵するクオリティを保ちながらも、パフォーマンスが 30〜70% も跳ね上がるというものでした。DLSS テクノロジーは、レイトレーシングにとっても貴重な相棒であることがわかりました。と言うのも、DLSS はパフォーマンス ヘッドルームを提供することによって、レイトレーシング環境が最大限活用され、出力される解像度は上がり、ラップトップのバッテリー寿命さえ延ばすことができるようになるからです。DLSS が使われているゲームには、Cyberpunk 2077Death StrandingControlMinecraft with RTXFortnite があります。」

Burke 氏によると、レイトレーシングと「次第に美しくなるピクセル」への移行によって、この GPU 内にあるシェーダー コアには、ものすごい要求が突きつけられています。

「そのことに対処するために、NVIDIA RTX GPU にはレイトレーシング専用の RT コアが追加されました。さらに、DLSS のようなスマート AI テクノロジーが備わることによって、望ましい解像度と画質を実現しながらもレンダリングするピクセル数を減らしたのです。」

Burke 氏は、最後に、レイトレーシングが開発者の QOL 問題にも大きな影響を与えるはずだと指摘します。

「従来のラスタライズによるグラフィックスでは、リアルな影、反射、照明を実現するために、ライトのベイクやその他のトリックが必要です」と Burke 氏は指摘します。「しかし、レイトレーシングを使用すると、その環境内での光が正確にシミュレートされるため、リアルな外観を得るための事前ベイクや特別なトリックは不要になります。そのため、ゲーム開発者にとって時間面と QOL 面での大幅な改善が期待できることになります。」

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